研究課題/領域番号 |
15590846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
菱田 明 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (70111812)
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研究分担者 |
山本 龍夫 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 講師 (30200819)
藤垣 嘉秀 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (20283351)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 急性腎不全 / シスプラチン / p21 / 腎皮質 / 近位尿細管 / アンチセンス / 細胞周期 / DNA修復 / p27 / サイクリンB_1 / サイクリンD_1 / GADD153 |
研究概要 |
急性腎不全(ARF)の病態の解明と予防・治療法の開発を目的として、DNA修復関連蛋白や細胞周期調節因子のARFにおける役割を検討した。 シスプラチン(CDDP)投与によりラットにARFを惹起した。このモデルでは、尿細管障害と血清クレアチニン値の上昇が3日目から認められ、5日目にピークとなる。 CDDP投与後3日目に、CDK阻害因子のp21とp27、およびサイクリンB1とD1陽性細胞が腎髄質外層の尿細管で有意に増加した。また、DNA修復関連因子であるPCNAとGADD45、GADD153陽性細胞も有意に増加した。CDDP誘発ARFを軽減させることが示されているsodium arsentiteを投与してARFの程度を軽減させたところ、p27の発現増強と、サイクリンB1とD1の発現減弱が認められた。またPCNAとGADD-153の発現も増加した。これら免疫組織学的検査での結果はウェスタンブロット法でも確認された。 p21の発現抑制を目的として、p21 antisense oligodeoxynucleotide (ODN)を投与したところ、p21 antisense ODNは主として腎皮質近位尿細管に取り込まれ、皮質近位尿細管細胞でのp21陽性細胞数を有意に減少させ、皮質尿細管の組織障害を増悪させた。一方、髄質外層外帯の近位尿細管には有意な変化は認めなかった。また血清クレアチニン値には影響しなかった。 以上の結果は、1)シスプラチン誘発急性腎不全では細胞周期調節に関連する因子とDNA修復関連因子の発現誘導が起きていること、2)腎障害の軽減は、細胞周期をG1/Sおよび/もしくはG2/M期に停止させる方向の発現変化とDNA修復関連蛋白の発現増加を伴っていること、を示している。今回の研究により、これら細胞周期調節蛋白やDNA修復関連蛋白の発現調節を介する急性腎不全治療薬開発の可能性があることを示すことができた。
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