研究課題
基盤研究(C)
異常なセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)の細胞内重合は肝臓や神経細胞の機能異常を引き起こし、セルピノパシーを発症することが知られている。我々は本研究において、新規腎臓向性セルピンのメグシンを多臓器に高発現してラットが腎臓・膵臓でのセルピノパシーを発症することを見いだした。メグシン高発現ラット腎臓ではPAS陽性封入体が糸球体上皮細胞(足細胞)、遠位尿細管上皮細胞、集合管細胞に多数認められ、電子顕微鏡、及び抗メグシン抗体を用いた免疫電子顕微鏡解析によって、それら封入体はメグシンから成り、小胞体内に蓄積していること、それに伴って重度の蛋白尿と腎機能低下が認められた。膵臓においても同様の封入体が外分泌細胞やランゲルハンス細胞(β細胞)の小胞体内に認められ、それに伴って低インスリン、高血糖を呈し糖尿病を発症していることが明らかになった。小胞体では新規に合成される蛋白の量とそれらを正常に折り畳みゴルジへ輸送する速度のバランスを崩した場合、小胞体ストレスを呈することが知られている。そうした不均衡を是正する機構のひとつに、小胞体ストレス誘導性分子シャペロン(oxygen regulated protein 150:ORP150、glucose regulated proteins : GRPs)を発現することで蛋白折り畳み速度を上げることができる。言い換えればORP150、GRPsは小胞体ストレスマーカーの一つである。そこで、メグシン高発現ラット腎臓の小胞体ストレスの程度と細胞障害の程度の相関を検討したところ、小胞体内に封入体が蓄積した足細胞ではPRP150、GRPs発現が著しく亢進しており、著名な小胞体ストレスが誘導されていること、また、それに伴って足細胞機能障害が生じていることが明らかにされた。さらにメグシンの小胞体内蓄積がメグシン重合によることを確認するため、重合しない変異メグシン(T334R)を高発現するラットを作出し、腎・膵臓病変を検討したところ、予想通り小胞体内メグシン沈着は認められず、小胞体ストレスや腎・膵臓機能障害も呈しなかった。以上の成果より、メグシン高発現ラットは新規の腎セルピノパシーモデルで、一連の解析を通じて、小胞体ストレスの糸球体障害における病因論の一端が明らかにされた。
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