研究課題
基盤研究(C)
ヒトの脳神経系アミロイドーシスにおいて伝播現象の有無およびその発症機序を解明する目的で以下の検討を行った。1)家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)患者の乳腺組織を採取し、乳腺へのトランスサイレチン(TTR)アミロイド沈着を病理学的に検討した。FAP患者の乳腺組織には、主として血管周囲、腺上皮周囲および脂肪組織周囲にTTRアミロイドの沈着が認められ、その沈着量は患者の臨床症状の重症度と相関していた。乳腺は乳汁分泌の際に腺上皮が剥離脱落する分泌形態をとることから、剥離した腺上皮の直下の沈着アミロイドは腺腔に接して存在していた。このような沈着アミロイドの一部は、乳汁中へのTTRアミロイド線維あるいはアミロイド原性TTRオリゴマーの供給源となりうる可能性がある。2)FAPのトランスジェニックマウスモデルを用いて、FAP患者の剖検臓器から精製したTTRアミロイド線維(ATTR)が、モデルマウスにおけるATTRの沈着を促進するかどうかを検討した。8〜11カ月齢のモデルマウス5匹に、FAP患者の剖検時に得られた心筋組織から抽出・精製したATTR画分1mgを尾静脈から注入した。対照群として同月齢のモデルマウス5匹に蒸留水のみを同様に注入した。42カ月後にこれらのマウスの種々の臓器におけるアミロイド沈着を調べた。この結果、ヒトATTR画分を投与したマウス5匹全てで食道、胃、腸、肺、肝、腎、心にアミロイドの沈着を認めたが、蒸留水を投与した対照マウスには全例で沈着を認めなかった。免疫組織学的検討では、組織に沈着したアミロイド線維は抗TTR抗体染色では陰性で、マウスApoAII蛋白に対する抗体で陽性に染色された。従ってヒトのATTR線維は、FAPモデルマウスにおけるアミロイドーシスの発症を促進したが、発症が促進されたのはTTRアミロイドーシスではなくApoAIIアミロイドーシスであった。
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