研究概要 |
Lambert-Eaton筋無力症候群(Lambert-Eaton myasthenic Syndrome, LEMS)は,P/Q型電位依存性カルシウムチャネル(P/Q-type voltage-gated calcium channel, P/Q型VGCC)が標的抗原であり,それに対する自己抗体が発症機序に重要であると考えられている。しかしながら,1)カルシウムチャネル自体の多様性,2)シナプトタグミンなどのカルシウムチャネル関運蛋白に対する自己抗体の出現,そして,3)血清抗P/Q型VGCC抗体が検出されない患者などの問題より,LEMSの標的抗原は確定していない。本研究では、その学問的な問いに答えるべく,LEMSの疾患誘導動物モデルを作成し,その病態解析,特に標的抗原,エピトープの解析を行うことを目的とする。第一段階は,α1A遺伝子発現アデノベクターの作製,アデノウィルスへの変換,そして,in vitroでのα1A subunitの発現の確認までを目標とする.次にα1A subunitのin vitroの発現,P/Q型VGCC蛋白の確認をした後に,in vivo DNA免疫プロトコールに従い,第2段階の動物実験に移行する。免疫後に,動物の血清中の抗P/Q型VGCC抗体が上昇した所で,微小電極を用いた電気生理学的検討でLEMSの発症の有無について検討する.先ずは,Ishikawaら(Neurology, 2001)によって作製されたP/Q型VGCCα1A遺伝子の供与を受け,そのα1A遺伝子のcDNAをアデノウィルスベクター用のシャトルベクターpHMVCMV6に組み込む作業を行った.この段階で手間取っていたが,最近,N型VGCCα1A遺伝子を組み込むことに成功した.この時の経験を応用して,再度,組み込む作業を行ってきた.しかしながら,現時点では,VGCCα1A遺伝子を組み込む作業は上手く行っていない.その理由としては,おそらく,VGCCα1A遺伝子が非常に大きいためと考察される.現在では,今回とは全く別の手法を用いることも検討中である.
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