研究課題
基盤研究(C)
1)mTORとJNKによるインスリン抵抗性とIRS-1セリン燐酸化我々、Hirataniらの論文に示すようにインスリンによるインスリン抵抗性にはIRS-1の307,612、636/639番目のセリン残基をリン酸化し、LDMからcytosolにtranslocationしたあとproteasomeにて分解をうける。しかし、JNKによるインスリン抵抗性はJNKを活性化するanisomycinを使用した実験では、インスリンによる刺激と同様のセリン残基をリン酸化するものの、translocation、proteasomeによる分解は見られなかった。従って、インスリン-mTORの経路、とJNKの経路は互いに連携しあって、異なったメカニズムによるIRS-1に対する影響がインスリン抵抗性を招来すると考えられた。2)IL-1αによるインスリン抵抗性のメカニズムとIRS-1セリン燐酸化我々、Jianying Heらの研究で示すごとくIL-1もインスリン抵抗性を来たすことから、IL-1によるIRS-1のセリン燐酸化と燐酸化する各種serine kinaseを検討すると、IL-1によりIRS-1の307、612、636番目のセリン残基をリン酸化し、又チロシンリン酸化を抑制した。IL-1の刺激により、IKK、JNK、ERK1/2,p70S6K.の活性化が見られ、これらの阻害剤にてIRS-1のセリン燐酸化は抑制されたが、チロシンリン酸化はJKK阻害剤とJNK阻害剤にのみ回復が見られた。インスリンにより活性化されたAktの燐酸化はIL-1では抑制されなかったが、IL-6の存在下ではIL-1はsynergisticallyにAktの燐酸化を抑制した。従って、IL-1はIRS-1のセリン燐酸化のレベルでインスリン抵抗性を惹起するが、インスリンのシグナル伝達に関しては、IL-6などのサイトカインの存在でIRS-1の下流で抑制している可能性が示された。
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