研究課題/領域番号 |
15590958
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
|
研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
中神 朋子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70237220)
|
研究分担者 |
佐藤 麻子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60205896)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | DECODDE-A / Multi-center study / ethnicity / Prevalence / Type 2 diabetes mellitus / body mass index / Cardiovascular disease / post-challenge glucose / 心血管疾患 / 新規糖尿病 / 高血圧 / 高コレステロール血症 / メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 / 糖尿病リスクスコア / メタアナリーシス / 糖尿病疫学 / 多国籍研究 / 糖負荷後血糖 / 心血管死亡 / 危険因子 |
研究概要 |
1980年以降、世界保健機関(World Health Organization : WHO)の提唱する75gブドウ糖負荷試験(Oral Glucose Tolerance Test : OGTT)時の2時間血糖値は糖尿病の診断的スクリーニングのGold Standardとして広く用いられてきた。一方、OGTTの際の空腹時血糖値140mg/dlは、糖尿病の診断基準である2時間血糖値200mg/dlに対応する値としては高値すぎるとの批判があり、1997年米国糖尿病学会(American Diabetes Association : ADA)は、疫学調査や日常臨床における糖尿病の診断に際して煩雑で高価なOGTTを用いず、空腹時血糖値を140mg/dlから126mg/dlに引き下げ、この値単独で糖尿病診断を行うよう勧告した。この診断基準の改訂を疫学観点から検討するために、ヨーロッパ糖尿病疫学研究グループならびに国際糖尿病疫学研究グループは、75g OGTTを採用した既存の糖尿病有病率に関する住民調査データの再解析を行った。ヨーロッパの成績を集計したのがDECODE、アジアの成績を集計したのがDECODA研究である。両研究は、血糖と心血管死の危険度の関係は連続的で既知の心血管危険因子から独立しており、OGTT2時間血糖値の死亡予測能は空腹時血糖値のそれより優れており、糖尿病のスクリーニングのターゲット集団としてImpaired Glucose Tolerance (OGTT2時間値:140-199mg/dl)がImpaired Fasting Glucose(空腹時血糖値:110-125mg/dl)より重要であることを示した。これら一連の成績は"孤立食後高血糖(空腹時血糖が正常範囲にあっても食後の血糖が正常範囲を超えて急上昇する)"が酸化ストレスを介し動脈硬化を進展させること、また、インスリン抵抗性を増強させ糖尿病自体を進展させるという疾病進行過程の重要な鍵を握ることを初めてアジア人の疫学データを用いて支持したものである。さらに著者らは、DECODE(ヨーロッパ系人種・12コホート・16945人)とDECODA(アジア系人種・8コホート:日本6343人、中国2790人、インド3291人)のデータベースを合体させ、加齢と肥満という糖尿病の最も強力な危険因子が1999年にWHOが提唱した新糖尿病診断基準(空腹時血糖値126mg/dl以上もしくはOGTT2時間値200mg/dl以上)に対し相互にいかなる影響を与えているか人種の点から検討した。すなわち、年齢が糖尿病有病率に及ぼす影響はBMIで補正しても国民の疾病構造や死因構造に大きく影響を受け、また、BMIの糖尿病有病率に及ぼす影響は年齢で補正してもなお大きな人種差・国民差があり、糖尿病有病率が上昇開始するBMIのカットオフ値は、日本人と中国人では22〜23kg/m^2、ヨーロッパ人では25kg/m^2、インド人とマルタ人では15〜20kg/m^2であった。これらの成績は肥満と糖尿病を含む代謝症候群のカットオフ値を人種別に定義する必要性を示すエビデンスとして重要である。また、WHOの糖尿病有病率・有病者数の推定が肥満人口の増加を考慮していないため過小評価である可能性を示唆した。
|