研究課題/領域番号 |
15590994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00211681)
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研究分担者 |
曽田 泰 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00361618)
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 白血病幹細胞 / テロメレース / テロメレース逆転写酵素 / レンチウイルスベクター / プロモーター / フローサイトメトリー / AML / hTERTプロモーター / Venus |
研究概要 |
白血病においても正常造血と同じく分裂増殖能力の階層性(幹細胞システム)が存在するという知見に基づいて、白血病の根治には白血病幹細胞を標的とする新たな治療戦略が必要であるという認識が広まりつつある。この視点から、白血病幹細胞を生きたまま同定してその生物化学的な性状を解析することが急務である。われわれは、極めて高いテロメレース活性を示す白血病細胞の中に幹細胞が含まれる可能性を想定し、当該細胞を前方視的に同定・分取する方法を考案した。テロメレース活性はその触媒サブユニットである逆転写酵素(hTERT)遺伝子の発現レベルと正の相関を示すため、hTERT遺伝子のプロモーター配列により黄色蛍光タンパク質(YFP)変異体(Venus)を発現する第三世代レンチウイルスベクターを作製した。高力価のVSV-Gシュードタイプ型hTERT-Venusウイルスは、白血病細胞株や患者細胞に対して高い導入効率を示した。そして、フローサイトメトリー上のVenus蛍光強度は内因性テロメレース活性を反映することを確認できた。サイトカイン(+/-)で培養した患者急性骨髄性白血病(AML)細胞のhTERTプロモーター活性(Venus蛍光強度)はほぼ一峰性であり、hTERTの発現は白血病細胞集団において連続的な分布を示すことが示唆された。さらに、蛍光顕微鏡に観察すると一部の細胞は強い蛍光を発しており、テロメレース活性の階層性が示唆された。3例の臍帯血CD34陽性細胞と19例のAMLを対象にhTERTプロモーター活性の測定を行った。前者は、無刺激でのhTERTプロモーター活性が低く、サイトカイン刺激により一様に上昇した。いっぽう、後者のhTERTプロモーター活性は、サイトカイン刺激の有無にかかわらず、患者間で大きな差異を認めた。AML19例のhTERTプロモーター活性の平均値は、サイトカイン(-)では臍帯血CD34陽性細胞の平均値の約2倍であり、サイトカイン(+)では平均値とほぼ同じであった。本研究により、患者白血病細胞のhTERTプロモーター活性を単一細胞レベルでモニターすることが可能となった。そして、白血病細胞集団にはhTERTプロモーター活性の連続的な階層性が存在することが判明した。大部分の症例ではサイトカインに反応してhTERTプロモーター活性が上昇したが、一部の細胞はサイトカイン(-)でも陽性であり、これらの細胞が白血病幹細胞に該当するかどうかが注目される。
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