配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2005年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
代表的抗白血病薬シタラビン(Ara-C)につき、ゲノム薬理学を応用したテーラーメイド治療の確立に向け、検討した。 (1)Ara-Cの最終活性型である白血病細胞DNA内転入薬剤濃度の微量定量法を確立した。本法によりAra-C処理された培養白血病細胞DNA内濃度は、^3HAra-Cによる対照値に近似し、本法の妥当性が確認された。本法によりAra-C中等量投与中の2名の患者において経時的に白血病細胞DNA内濃度を、血中濃度、細胞質内濃度とともに測定した。1名ではいずれの濃度も投与後6時間で測定限界値以下に減衰したが、もう1名では血中、細胞内濃度とも遷延し、DNA内濃度は経時的に増加した。血中濃度、細胞内濃度の維持が薬剤のDNA内転入に重要であると考えられた。またDNA合成を停止させる為に必要なAra-C濃度は患者毎の白血病細胞で異り、DNA内薬物動態に基くテーラーメイド化の可能性が示唆された。 (2)DNAマイクロアレイを用いた感受性予測の為、Ara-C耐性化関連因子を抽出する為、5つの造血細胞種(骨髄系1種、造血幹細胞系1種、単球系2種、リンパ球系1種)に対しそれぞれ臨床的耐性レベルに近い10倍前後のAra-C耐性細胞を樹立した。これらの細胞からcDNAマイクロアレイによる遺伝子プロファイルを比較解析し耐性に関与する遺伝子同定を行った。細胞間で認めた有意な共通の発現変化はHSPA8,C19orf2,PSAP, POU4F3,MBC2,LGALS1,CACNA2D3,AKT1の8遺伝子であった。しかし、いずれも発現レベルに2倍以上の明らかな変化は示さず、既知の耐性遺伝子であるhENT1, DCK, 5NTの発現は各細胞で異なっていた。以上より同様な条件でAra-C耐性化を誘導しても耐性機序は細胞株毎に異なることが示された。今後個々の症例でAra-Cの耐性機序につき本法により網羅的にスクリーニングし、Ara-Cに対する感受性を予測することでのテーラーメイド化が期待された。
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