研究概要 |
MEFは、ETSファミリーに属する転写因子で、遺伝子破壊マウスの実験よりNK細胞におけるパーフォリン遺伝子発現に必須であるが、T細胞ではMEFを欠いていてもパーフォリン遺伝子が発現することがわかっている。これを解明するためにMEFと結合する蛋白質を同定すべくTandem Affinity Purification (TAP)法に引き続いて質量分析法を実施した。293T細胞にTAPベクターに組み込んだMEFを導入し、角蛋白質を抽出した後、アフィニティーカラムを用いて2段階の精製を行った。繰り返しの実験でSDS-PAGE上、同じパターンの蛋白質が得られ、還元・アルキル化の条件の下でそれらを質量分析によって解析した。その結果以下の蛋白質がMEF結合蛋白質として同定された。すなわち、(1)Myb binding protein1,(2)nucleolin,(3)MEF,(4)RNA helicase,(5)vimentin, (6)nucleophosminである。この中で(1)は転写制御蛋白との相互作用が報告されており、また(2)、(6)はいずれも核-細胞質間の蛋白輸送に関与すると報告され、幾つかの転写因子の活性を制御することが知られている。又、(6)は白血病での異常が報告され、化学療法感受性とも関連も指摘された。さらに、MEF結合蛋白質の対象としてMEF自身が同定されていることより、二量体としてのMEFの転写活性作用も予想される。現在、これらのcDNAをPCR法を用いてクローニングし、個々の蛋白質についてMEFとの相互作用を検討中である。
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