研究課題
基盤研究(C)
(1)レチノイン酸受容体の異常は白血病化の原因として知られているが、この異常が白血病を引き起こす機序については不明な点が多い。研究代表者は、レチノイン酸受容体が転写因子GATA-2と直接結合することを初めて見出し、この結合を介してGATA-2の機能がレチノイン酸(ビタミンA)の支配下に調節を受ける可能性を示した。したがって、一種のホルモンであるレチノイン酸は、その本来の受容体を介して機能を発揮するだけでなく、GATA-2という未分化血液細胞に発現する転写因子を介して機能を発揮しうる。事実、造血細胞コロニー形成能がGATA-2存在下にレチノイン酸の影響をうけることを明らかにしている。レチノイン酸受容体が機能変異している白血病では、GATA-2の機能も変異していることになり、このことが白血病化に寄与する可能性がある。(2)t(12;21)染色体転座により形成されるTEL-AML1融合遺伝子は小児白血病で最も多く見られる異常でプロB細胞性白血病を引き起こすことが知られているが、その機構については明らかではなかった。今回、研究代表者は、TEL-AML1をマウスの造血細胞に発現させることにより、モデルマウスを作成することに初めて成功した。このマウスの解析を通じて、TEL-AML1はB細胞の分化をプロB細胞段階で止める働きがあることを見出した。この結果は、TEL-AML1白血病の病態を理解するうえで重要な知見となり、さらに詳細に解析中である。
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