| 研究概要 |
FDC様細胞株HKは、IL-2,IL-4,IL-7,IL-15の存在下で、CD4陽性T細胞の増殖を促進する。そこで、3例の成人T細胞白血病・リンパ腫(ATLL)のリンパ節細胞をIL-2,4,7,15の存在下でHK細胞と共培養したところ、全例でCD4陽性細胞株が得られた。細胞株のT細胞受容体γ鎖の再構成パターンをPCR法を用いて検討したところ、うち1例が腫瘍細胞由来であることが判明した。さらに、リンパ節内のdish付着細胞を不死化させた細胞株を使用し、IL-2,4,7,15の存在下で乳腺腫瘤由来ATLLを培養したところ同様に腫瘍細胞由来細胞株を樹立した。また、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AILD)3例でも同様の培養を行い、うち2例において、3ヶ月程度の細胞増殖を確認し、T細胞受容体γ鎖の再構成パターンを検討したところ、もとのリンパ節細胞で認められるcloneの増殖を確認した。以上より、FDC様細胞株HKや、リンパ節由来付着細胞は、IL-2,4,7,15の存在下で、CD4(+)T細胞腫瘍の増殖促進効果があることがわかった。ATLL由来2細胞株は、いずれもHTLV-Iプロウイルスは、欠損型であった。そのうち、リンパ節由来細胞株においては、HK細胞非依存性増殖を起こす細胞株に変異していたが、この細胞株では、もとの欠損HTLV-I provirusに加え、新たな完全型のHTLV-1が重複感染していることが判明し、HK細胞上ではむしろ死滅した。以上より、ATLLにおいては、HTLV-1感染細胞の増殖は促進しないものの、ATLLをはじめとする一部のTリンパ腫においては、FDCが増殖を支持している可能性が明らかとなった。
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