研究分担者 |
有馬 和彦 佐賀大学, 医学部, 助手 (60336112)
金地 佐千子 佐賀大学, 医学部, 助手 (50363429)
金地 泰典 佐賀大学, 医学部, 助手 (40363428)
増本 清成 佐賀大学, 医学部, 助手 (40363452)
永井 博弌 (長井 博弌) 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90082974)
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研究概要 |
IL-4,IL-13がアレルギー疾患の発症に深く関わっていることはよく知られているが,その詳細な発症機序は不明なままである.この点を明らかにするために,我々は以前気管支上皮細胞をIL-4あるいはIL-13で刺激して発現が誘導される遺伝子群(トランスクリプトーム)をマイクロアレイにて同定した.そして,同定された遺伝子の中で扁平上皮癌抗原1(SCCA1)とSCCA2という分子が,気管支喘息患者の気道組織にて発現増強しており,血中レベルも上昇していることを明らかにした.今回,このSCCA1とSCCA2の機能的解析あるいは生体における役割について解析を行った. SCCA1とSCCA2はともにセルピンと呼ばれるセリンプロテアーゼファミリーの一員であるが,他の多くのセルピンとは異なり,システインプロテアーゼ活性に対する阻害活性を持つことを明らかにした.特に,SCCA2は主要なダニアレルゲンであるDer p 1と呼ばれるシステインプロテアーゼ活性を阻害することを明らかにした.これは,IL-4やIL-13がプロテアーゼインヒビターを産生して外来性のシステインプロテーゼに対して生体防御的に働くという,新規のTh2型免疫反応による生体防御機構が存在することを示していた.さらに,SCCA2のアミノ酸変異を人為的に行って解析を行う過程で,野生型SCCA2に比べてより強いDer p 1に対する阻害活性を示す変異型SCCA2を作製することに成功した.このことは,この変異型SCCA2自身,あるいはそれに構造的に類似した化合物を,ダニアレルゲンによるアレルギー疾患に対する創薬として開発しうる可能性を示唆している.
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