研究課題/領域番号 |
15591059
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
膠原病・アレルギー・感染症内科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40202204)
|
研究分担者 |
河野 茂 長崎大学, 医薬総合研究科, 教授 (80136647)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 呼吸器感染症 / 緑膿菌 / バイオフィルム / 菌の定着 / 定数感知機構 / in vivoモデル / 抗菌薬感受性 / 慢性気道感染症 / 実験モデル / 慢性細菌性感染症 / 抗菌化学療法 / マクロライド |
研究概要 |
【背景】緑膿菌は、慢性気道感染の主要な原因菌である。近年緑膿菌が定常状態(Stationary phase)においてQuorum-sensing(以下QSと略す)機構を用いて様々な病原因子産生を活性化することが明らかとなっている。今回我々は、マウス気道にプラスチックチューブを留置することで細菌の排除機構に障害を加え、慢性呼吸器疾患の気道を再現した緑膿菌感染モデルを用いて、in vivoにおいて緑膿菌のQS機構が生体側に与える影響を解析した。 【方法】実験動物はC57BL/6系、8週令、雄マウス、菌株はPAO1(wild type)、JP1(ΔlasI)、JP2(Δlas1/ΔrhlI)、PDO100(ΔrhlI)を用いた。φ1mmの静脈留置用カテーテルを3mmの長さに切断し、麻酔したマウスに経気道的に挿管・留置し、同時に菌を接種した。(1)感染後14日までの生存率を比較した。(2)感染7日後、14日後、28日後に肺内生菌数を計測した。感染14日後の(3)肺病理組織、(4)気管支肺胞洗浄液(BALF)の解析をおこなった。 【成績】(1)緑膿菌QS変異株の致死率はJP1株についてはWT株と比べ有意に低く、JP2、PDO100株についても低い傾向が見られた。(2)肺内生菌数については、WT株と比べ感染7日目にはJP1株とPDO100株が、14日目にはJP1株とJP2株が有意に少なく、他の群においてもWT株より少ない傾向がみられた。(3)感染14日目肺組織所見ではWT株と比べ特にJP1株は炎症所見に乏しく、JP2株、PDO100株についてはWT株とJP1株の中間程度の炎症所見であった。(4)感染14日目の気管支肺胞洗浄では各群において総細胞数に有意差は認められなかったが、好中球分画数において、WT株と比較してJP1株、JP2株、PDO100株は有意に低かった。 【考案】WT株と比較するとQS変異株は致死率、肺内生菌数、病理組織像上の炎症所見において、いずれも有意に低い或いは低い傾向が認められた。このことから緑膿菌のQS機構は慢性感染において重要な役割を話しており、今後臨床の場における治療のターゲットとなりうることが示唆された。
|