研究分担者 |
春間 賢 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40156526)
武田 昌治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10227035)
伊海 英則 川崎医科大学, 医学部, 助手 (20309587)
大内 正信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80107185)
原田 保 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30165021)
秋定 健 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (00212423)
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研究概要 |
ワクチンデリバリーシステムの開発において,少量でかつ安全,確実な作用を持った新しい粘膜ワクチンの開発が望まれている。特に,経鼻ワクチンの開発において,ヒトの鼻咽頭リンパ組織(NALT)のM細胞の膜の特性や選択的にM細胞から取り込まれるワクチン担体物質を開発することは非常に重要なことである。これまで,我々はヒトの鼻咽頭リンパ組織,いわゆる,アデノイド組織でのM細胞の超微形態とその機能を検討し,アデノイド組織にはパイエル板や大腸リンパ濾胞によく似たM細胞が存在することを明らかにした。今回は1)アデノイド組織のM細胞はインフルエンザウイルスの大きな侵入門戸であることも明らかにした。2)次にヒトのアデノイド組織での種々の性状のラテックス蛍光粒子の取り込みについて検討を行った。2才から5才までの4症例の慢性炎症によるアデノイド摘出手術標本を器官培養し,種々の性状の抗原粒子の取り込みについて検討した結果,蛍光ラテックス粒子投与後2時間後の透過電顕で0.2,0.5,1.0,2.0μmの小粒子のM細胞による粒子の活発な取り込みを認めた。さらに,蛍光顕微鏡を用いた画像処理による検討で粒子径が小さく,粒子濃度の濃いものほど取り込み量が亢進していた。また,poly-L-lysinやchitosanでコーティング処理したものは,無処理のものより取り込み量が有意に亢進していた。これらの所見は今後のM細胞を介した経鼻ワクチンの開発に大きく寄与するであろうと考えられる。
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