研究概要 |
NOD/SCID/γ^<null>(NOG)マウスに、若年型骨髄単球性白血病(JMML)と再生不良性貧血(再不貧)患者由来の骨髄血や末梢血を移植し、xenograftマウスの作成を試みた。JMML患者由来の骨髄細胞は、3血球系統のみならず、T,B,NK細胞をも含むリンパ球系細胞もマウス体内で増殖可能であった。モノソミー7の染色体異常がみられたJMML患児由来の骨髄細胞を移植したNOGマウスから骨髄及び脾臓細胞を採取し、イムノビーズ法でT,B,NK細胞に分離し、各細胞分画におけるモノソミー7の存在をFISH法で検討した。T,B,NK細胞のみならずT細胞分画からもモノソミー7が検出された。今回の実験結果から、JMMLはリンパ球分画をも含む多能性幹細胞の白血化であることが証明された。 一方、再不貧患者由来の骨髄細胞を移植した場合は、生着したヒト由来細胞の99%はT細胞であった。T細胞が生着したマウスにおいては、末梢血では汎血球減少がみられ骨髄は低形成で再不貧の病理所見を示した。健常人骨髄を輸注したところ、1匹では貧血がみられるも他の1匹では血液所見に著変はみられなかった。再不貧患者由来の検体と同様に、生着したヒト血球細胞の99%はT細胞であった。生着した細胞のほとんどがT細胞であったので、T細胞を除去した骨髄細胞分画を移植したところ、ヒト血球細胞の生着は確認できなかった。さらにT細胞除去分画にT細胞を再添加した骨髄を移植した場合には、生着が得られたことから、T細胞が生着を促進する作用があると考えられた。 今回の一連の実験から、再不貧患者由来の骨髄細胞を移植することで再不貧のxenograftモデルマウスの作成が可能であることが判明した。
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