研究概要 |
本研究期間における主たる成果は,以下の通りである. <SHOX遺伝子発現調節領域の決定> SHOXは,ターナー症候群における成長障害と骨格徴候の責任遺伝子である.われわれは,既にSHOX半量不全に特徴的なLeri-Weill型軟骨骨異形成症患者40例以上を解析し,33例においてSHOXを含む微小欠失を,3例において遺伝子内変異を同定した.その後,残る4例においてSHOX遺伝子から3'方向へ約150kb離れた39kb領域が共通して欠失していることを見いだした.さらに,SHOX完全欠失に特徴的なLanger型中肢骨短縮症患者においても,1個のX染色体構造異常と正常X染色体における同領域の微小欠失が同定された.そして,in silico解析により,この39kb領域内に種を越えて保存されている領域を6カ所同定し,ルシフェラーゼアッセイにより,この保存領の中の約300bp領域にSHOX発現調節領域が存在するというデータを得た.この成績は、この共通欠失領域内にSHOX発現調節配列が存在し、その欠失がSHOXの発現異常を招いた可能性を示唆するもので,SHOX導入マウスの基礎的データとなると同時に,発現調節異常症という概念を提唱しうるものである. <リンパ管形成遺伝子の限局化> Turner症候群の軟部組織徴候と内蔵奇形の責任遺伝子と推測されるリンパ管形成遺伝子をX染色体短腕部分欠失患者47例とY染色体短腕部分欠失患者18例の遺伝子型-表現型解析に基づいてX染色体短腕上の約9Mb領域とY染色体短腕上の約2Mb領域に限局した.さらに,Y染色体微小欠失を有する患者の解析から,Y染色体短腕上のリンパ管形成遺伝子を,さらに小さい範囲に限局し,候補遺伝子と見倣しうる3個の発現シークエンス座位を同定した.
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