研究課題
基盤研究(C)
本研究ではsmall interfering RNA(siRNA)発現レンチウイルスベクターもしくはsiRNAオリゴヌクレオチドを用いたRNA干渉法で遺伝子機能阻害実験を行うことにより、色素細胞特異的発現遺伝子(MART-1、AIM-1)および悪性黒色腫高発現遺伝子(β-カテニン、FABP7)の機能解明を試みた。まず高色素産生悪性黒色腫細胞株であるSKmel23を用いてメラニン合成系における必須酵素チロシナーゼに対するRNA干渉を行い、メラニン合成量を吸光度で定量することによりRNA干渉効果を測定する系を構築した。MART-1およびAIM-1に関して、SKmel23へ導入しRNA干渉を行い定量PCRにより干渉効果を認める標的配列を確認したが、明らかな白色化や増殖抑制はみられなかった。次にβ-カテニンが異常蓄積した4株の悪性黒色腫細胞株でβ-カテニンのRNA干渉を行ったところ、2細胞株で弱い増殖抑制がみられた。悪性黒色腫高発現遺伝子FABP7でRNA干渉を行い、悪性黒色腫細胞株WM266melと888melでは細胞増殖能、細胞浸潤能が低下することを明らかにした。逆にFABP7陰性293T細胞にFABP7 cDNAを導入発現すると、細胞増殖能と浸潤能が促進された。したがって、FABP7は悪性黒色腫の増殖浸潤に関与する可能性がある。本研究で、色素細胞特異的遺伝子MART-1、AIM-1の発現抑制を行っても高色素産生悪性黒色腫細胞株は白色化せず、直接メラニン合成に関与している必須酵素以外の遺伝子でメラニン合成量からRNA干渉効果を測定する系を用いることは困難であると考えられる。しかしβ-カテニンやFABP7の発現抑制を行うことで悪性黒色腫細胞株の細胞増殖能や細胞浸潤能の低下を明らかにすることができ、RNA干渉法による遺伝子機能阻害実験が有効な機能解析手段であることが示された。
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