研究分担者 |
中根 秀之 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (90274795)
藤丸 浩輔 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70284685)
今村 明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (40325642)
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
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研究概要 |
これまで我々は気分障害やその治療薬の作用機序としてG蛋白質-2次メッセンジャー系およびその下流領域であるCREB-BDNF系が重要な役割を持つことを指摘してきた。これらの脳情報伝達系の変化は近年の脳画像研究の発達や死後脳研究による脳内神経回路網の構造的な異常と関連することが推測される。この器質的な変化を説明する上で、神経再生のキーファクターとして神経幹細胞が注目される。胎生期のマウス線条体から神経幹細胞を分離・培養する手法(neurosphere法)がReynoldsとWeissらにより報告されて以来、神経幹細胞に関する研究は急速に進展した。我々は、抗うつ薬や気分安定薬の神経幹細胞の分化誘導促進作用があることを示してきたが本年度では、これらの薬剤について神経幹細胞の増殖能に対する影響を検討した。 長崎大学動物実験指針に従い、胎齢15.5日マウス胎仔脳から線条体原基を分離・分散後、neurosphere法によって培養し、6日後neurosphereを解離した。セルストレーナーに通した後、5×10^4cells/mlとなるように96well plateに100μl/wellずつ播種後1,3,7日後にWST-8assayを行い、フルオキセチン(0,0.01,0.1,1μM)、炭酸リチウム(0,100,300μM)、カルバマゼピン(0,10,30μM)の増殖能に与える影響について評価を行った。 リチウムは1,3,7日と経時的かつ濃度依存的に有意に増殖能を亢進させた。一方、カルバマゼピン、フルオキセチンでは変化が認められなかった。
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