研究課題
基盤研究(C)
研究の目的は高血糖下での血管閉塞・再開通した虚血ラットにおいて、どのタイミングでNO合成酵素阻害薬であるN-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)を投与すれば脳虚血拡大防止に有用かという点について、虚血・梗塞範囲の早期同定に鋭敏な方法である拡散強調画像(diffusion-weighted imaging : DWI)を使い、評価することにある。方法:ラット虚血モデルは血管内縫合糸による中大脳動脈(middle cerebral artery : MCA)閉塞モデルを使った。虚血ラットのグループはL-NAME(3mg/kg腹腔内投与)の投与タイミングによって、グループA;中大脳動脈閉塞と同時(n=8)、グループB;中大脳動脈閉塞から30分(n=8)、グループC;再開通と同時(中大脳動脈閉塞から1時間)(n=8)の3つのグループに分類した。また偽薬として生理食塩水をそれぞれの時間に投与した虚血ラットをコントロール群とした(n=24)。虚血病変の体積は拡散強調画像のb値2000s/mm^2で得られた高信号病変から測定した。.結果:L-NAMEは高血糖下の中大脳動脈閉塞・再灌流ラットモデルにおいて閉塞と同時に投与することにより、虚血2時間後、6時間後の拡散強調画像高信号(梗塞)体積を有意に低下させた(コントロール群と比べ、各々32%、21%の縮小)。24時間後でも12%の梗塞体積縮小を認めたが明らかな有意差は認めなかった。中大脳動脈閉塞後30分、1時間のL-NAME投与では有意な梗塞体積の低下は認めなかった。以上より、L-NAME投与は、高血糖下の血管閉塞・再灌流脳虚血モデルで、血管閉塞と同時に投与することが脳虚血傷害の軽減につながることが示唆された。
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