研究分担者 |
本田 浩 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90145433)
吉満 研吾 九州大学, 大学病院, 講師 (20274467)
田嶋 強 九州大学, 大学病院, 助手 (50346798)
浅山 良樹 九州大学, 大学病院, 助手 (40380414)
平川 雅和 九州大学, 大学院・医学研究院, 非常勤学術研究員 (20380454)
相部 仁 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40304810)
西江 昭弘 九州大学, 大学院・医学研究院, 非常勤学術研究員
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研究概要 |
本研究は,MRを用いて膵実質内における水分子の拡散の程度を画像化し,さらにそれを定量化することにより,非侵襲的に部位別の膵外分泌機能を評価する全く新しい検査法を開発し,臨床応用することを目的とした。 1)基礎的検討:膵実質における拡散現象の詳細な評価に応用可能な拡散強調像の撮像法の開発のため,ファントム実験を行い最も適した撮像パラメータを求めた.これにより得られた撮像法を,常ボランティアに応用して画質の評価ならびにパラメータの微調整を行ない,最適撮像法を決定した.当初の計画では,セクレチンを投与することにより,部位別の膵外分泌機能を評価する予定であったが,セクレチンの販売が中止され使用不能となったため,手元にある限られたセクレチンを利用して,正常例におけるセクレチン投与前後での膵実質の拡散強調像の変化を調べる研究を行った.その結果,予想どおりセクレチン投与による拡散強調像で膵実質の信号変化が観察された. 2)臨床的検討(1):臨床の場でのセクレチン投与による部位別の膵害分泌能評価は断念したが,セクレチンを投与しない状態でのADC値を,正常例と慢性膵炎例で比較する研究を行った.その結果,慢性膵炎患者群の膵のADC値は,正常群の膵のADC値よりも有意に低いことが判明し,予測したとおりの結論が得られた.さらに慢性膵炎群を外分泌能の観点から軽症,中等症,重症に分類し,それらの患者群でのADC値の比較検討を行った.その結果,膵害分泌能障害が進行するにつれてADC値は低下する傾向が得られた. 3)臨床的検討(2):今回確立した拡散強調MRI撮像法は膵以外の領域にも応用可能であり,膵以外の分野に応用してその有用性を評価する研究を行った.腎臓,子宮,卵巣,前立腺といった臓器の腫瘍性病変に応用した.その結果,ADC値はそれらの臓器の腫瘍性病変の鑑別診断に寄与することが判明した.このことは,今回の研究により開発した拡散強調MRI撮像法が優れた能力を持ち,ポテンシャルの高い画像であることの証明になると考えられた.
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