研究課題/領域番号 |
15591286
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松田 尚樹 (2006) 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (00304973)
奥村 寛 (2003-2005) 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00073130)
|
研究分担者 |
井原 誠 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60175213)
森田 直子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 技術職員 (90380972)
松田 尚樹 先導生命科学研究支援センター, 教授 (00304973)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 細胞運動性 / がん転移 / X線 / インテグリン / ラミニン / FAK / ERK / p53 / 癌転移 / 細胞外マトリックス / 放射線照射 / 神経膠芽腫細胞 / P53 |
研究概要 |
本研究では、癌の転移における放射線照射の影響を基礎的に検討することを自的として、ヒト神経膠芽腫由来A172細胞(p53正常)及びA172M細胞(変異p53導入)を用い、亜致死線量の放射線照射による浸潤性上昇のメカニズムを、特に細胞運動性と細胞接着因子及びそれを起点とするシグナル伝達分子に着目して解析した。 まず、一定の培養時間中にmicropore membrane(pore size 8μm)を通過する細胞数を計測するmigration assay法を確立し、細胞の運動性を検討したところ、A172細胞は150μg/ml以上のLMに対して高い運動性を示し、3Gy(細胞生存率70%程度)のX線照射はこの運動性をさらに促進した。このとき、A172細胞表面のLM受容体(接着因子)であるintegrinα6β1のβ1サブユニット(CD29)発現がX線照射後の時間依存的に増加していた。一方、A172M細胞においてはX線による運動性促進は見られず、またintegrin発現量も低値を示した。IntegrinとLMとの相互作用は、焦点接着部位に局在する分子群のリン酸化によって細胞内シグナルに変換される。そこで、細胞に3GyのX線を照射後のリン酸化焦点接着キナーゼ(FAK)をwestern blotにより検出したところ、A172細胞では照射2時間後から24時間後まで持続的なリン酸化が見られたさらに、FAKの下流に位置するシグナル群のうち、MAPキナーゼの一種であるERK1/2のリン酸化も確認された。 以上より、亜致死線量のX線による細胞運動性促進にはLMと相互作用するintegrinの発現増加が関与し、それに伴ってintegrinからのシグナルも増加し、細胞応答の引き金となることが示唆された。さらに、この機構の一部にp53が関わる可能性が示唆された。
|