研究概要 |
培養細胞の放射線(γ線)感受性は多くの場合対数増殖期と定常期で異なり、平面培養と球状培養でも異なる。このことから、放射線感受性に対する細胞間接着因子の関与を考え、本研究を行った。細胞間接着因子のうち、ギャップジャンクション(GJ)を阻害する薬剤の1つであるoleamide(最終濃度100uM)を培地に添加し、定常期のMDCK細胞およびUMRC-6細胞(ヒト腎細胞癌由来)にγ線2-10Gyを照射後,alamar blue assayにて細胞生残率を調べたところ,非添加群に対し2-6Gyを中心に放射線増感効果が得られた。Oleamideの溶媒としてはエタノール、DMSO(dimethylsulfoxide)が知られているが,増感効果は前者でのみ見られた。他のGJ阻害剤として知られる18β-glycyrrhetinic acid(最終濃度70uM)はこれらの細胞に対し毒性が強く,定常期での細胞維持が困難であったため,放射線増感効果の検討に不適と判断した。次に,GJの構成要素の1つであるconnexin 43のドミナントネガティヴ変異体(aa.130-136欠失変異体)を作成した.しかし,この変異体を細胞に発現させる前にコントロール実験として計画したlacZ発現ベクターの細胞導入(トランスフェクション)が上手く行かず,変異体の発現に至らなかった。現在,所属機関内の研究者に支援を頼み,研究の遂行を図っている。
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