研究概要 |
治療を目的としにた放射線診断機器の使用において、患者の被曝線量(特に皮膚)の計測が必要であることは誰もが認めるところであるが、現状においては国内、国外においても満足すべき測定方法はない。最近は診断用に用いられたエックス線による発癌も問題となりており、各症例における被曝線量の計側は急務である。しかしながら、線量の測定には標準となるファントムと計測のプロトコールが必要であり、それは簡便であることが望ましいが、臨床に用いるに十分な画質の担保も必要である。これらを解決すべく、本研究において頭部ファントムの作成を行った。空間分解能の計側以外の面では満足すべきものが作成されている。研究の目的は頭部ファントムの完成と計測のプロトコールの完成であり、それらを用いた計測法の普及についての足掛りを得ることである。 昨年度に作成した頭部ファントム(京都科学社製)_を用いた皮膚線量計測におけるスキンドーズモニタ(SDM)、ガラス線量計、空中線量計測器との関連性がほぼ明らかとなったので、SDMを主体とした計測方法を完成し、その計測方法が本学のみならず、他施設においても計測ができる方法であることを証明した。携帯できるシステムとし,計測法をブックレットとしたので、近隣の施設および関東の施設における線量測定を実施しえた。このシステムが十分に機能することは実証できたと考える。得られた結果は被曝線量が多しさ施設と少ない施設とでおよそ3倍の開きがあり,エックス線照射の条件設定には問題があることも浮き彫りになり,大きな課題と思われた。 SDMが販売されなくなったこと,ファントムにおける不具合などの問題点は残るが,このシステムは被曝線量の客観的評価に有用であることが明らかとなった。皮膚被曝線量の大きな機種においては計測の翌日より線量を減らすことができ,実際の有効性も確かめられた。
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