研究課題/領域番号 |
15591320
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
東 信良 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30250559)
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研究分担者 |
笹嶋 唯博 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20109515)
稲葉 雅史 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (70151587)
羽賀 將衛 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80271766)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 内膜肥厚 / 静脈グラフト / NFkB / グラフト狭窄 / デコイ / HVJ / ICAM-1 / 遺伝子治療 / HGF |
研究概要 |
自家静脈グラフトの移植後内膜肥厚はいまだ解決されておらず、その成因や治療手段を見直す必要がある。今回我々は、炎症や虚血再還流が静脈グラフトの内膜肥厚に深く関与しているのではないかという仮説のもと、イヌの大腿動脈を自家静脈グラフトで置換するモデルを用いて検討した。その結果、以下の結果を得た。 1)炎症性サイトカインや虚血再還流障害に関わる転写因子であるNFkBの静脈グラフト内での活性化を見たところ、移植直後から活性が亢進し、移植後2日目でピークとなり、その後漸減するという経過をたどって前値に復する経過で変化することが明らかとなった。また、これと一致して、NFkBの下流に位置する炎症細胞に関連する接着因子であるICAM-1のmRNA発現が静脈グラフトの細胞で移植後に亢進することが明らかとなった。 2)NFkB decoyオリゴヌクレオチドを静脈壁内にHVJ-Envelope vectorを用いて導入したところ、静脈グラフト移植後2日目にみられたNFkB活性化は抑制された。 3)移植後1ヶ月の静脈グラフトの組織切片を作成して、染色し、コンピュータで画像計測をしたところ、NFkB decoyを導入した静脈グラフトでは、Scramble decoyを導入したグラフトに比べて、有意に内膜肥厚の程度(内膜肥厚面積/内腔面積比)が小さくなってお、り(0.096±0.03 vs 0.461±0.11,p=0.048)、NFkB decoy導入による内膜肥厚抑制効果が認められた。 4)NFkBの下流にあるICAM-1 mRNAもNFkB decoy導入群で、Scramble decoy導入群に比較して、有意に減少していた(0.347±0.07 vs 0.612±0.08,p=0.047)。 以上の結果より、NFkBは、自家静脈グラフトの内膜肥厚形成に深く関与し、遺伝子導入によってNFkB活性化をブロックすることで、内膜肥厚が抑制され、治療的ツールとして有用であることが明らかとなった。 今後臨床応用に向けて、いかに障害なく炎症も起こさずに血管壁に遺伝子導入できるかを検討してゆく必要があると考えられた。
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