研究課題/領域番号 |
15591358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
林 京子 北里大学, 医学部, 助手 (30240211)
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研究分担者 |
山科 正平 北里大学, 医学部, 教授 (90013987)
高橋 毅 北里大学, 医学部, 助教授 (70245405)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 膵臓 / 再生 / 分化 / 膵切除 / 膵内分泌細胞 / 膵幹細胞 / PGP9.5 / 膵移植 / 膵再生 / β細胞への分化 / 腺房中心細胞 / 腺房細胞 / ラット / 90%膵切除 |
研究概要 |
我々は膵移植治療に向けて、β細胞への分化過程を明らかにし、膵内分泌細胞の幹細胞を特定し、移植することを目的としている。そのため、ラット90%膵切除モデルを用いて、(1)細胞種別の増殖動態を観察し(Arc Histo Cyto 62、337-346、1999)(2)膵発生と膵管結紮性膵炎を作製しPGP9.5(protein gene product 9.5)が内分泌細胞のprogenitor cellのマーカーであることを見出した(Endocrine J 49(1),61-74,2002)。 我々は90%膵切除後24時間内の内分泌細胞の動態に着目した。PGP9.5は内分泌細胞を標識するが腺房細胞は標識しないことが知られている。術後超早期に導管系細胞に内分泌ホルモン陽性細胞やPGP9.5陽性細胞が出現し、また腺房細胞にもインスリンとアミラーゼ顆粒が混在する細胞が出現することから、progenitor cellを標識するマーカーであるPGP9.5を併用して、(1)これらの細胞がprogenitor cellであり、(2)これらの細胞をなんらかの形で移植に応用できないか、(3)移植定着や膵内外分泌細胞の増殖因子を追求することが目的であった。 その結果、蛍光抗体法で、抗インスリン抗体と抗アミラーゼ抗体との2重染色を行ったが2重染色される細胞は極めて稀であった。つまり、腺房細胞が優位にβ細胞、あるいはラ氏島に分化増殖している可能性は極めて低いと考えられた。術後超早期に出現する導管系細胞(腺房中心細胞、介在部、小葉間導管)は[PGP9.5(+)・内分泌ホルモン(-)またはPP(+)]、術後2-3日に出現する[PGP(+)・インスリン(+)]細胞が出現する。[PGP(+)・内分泌ホルモン(-)またはPP(+)]は膵内分泌細胞の前駆細胞である可能性が示唆され、内分泌ホルモン(-)あるいはPP陽性細胞から内分泌ホルモン(+)(β細胞)になる移行期を各種方法により観察を行った。しかし、[PGP(+)・内分泌ホルモン(-)またはPP(+)]細胞検出も極めて困難であった。しかし、[PGP(+)・PP(+)]がβ細胞の前駆細胞の可能性が示唆された。また、この研究から、膵内分泌細胞は術後2日以降から腺房中心細胞とラ氏島のグルカンゴン陽性細胞からインスリン陽性細胞へと分化増殖することが確認され、導管系細胞の中でも腺房中心細胞が膵幹細胞に最も近い細胞あるという結果を得た。(Arch.Histol.Cytol 66、163-174,2003)移植法については腎被膜下、経門脈、後腹膜下に移植する方法がある。我々は切除膵の導管系細胞を腎被膜に移植し、目視的には腎被膜下が最善の方法であることがとらえられている。しかし、明らかな血糖を低下させるという結果はまだ、得られていない。増殖因子については十二指腸から分泌されるCCKをブロックしたところ、膵増生が抑えられたことから、膵増生にはCCKが関与することが明らかとなった。(Acta Histo Cyto 37(1)31-38,2004)導管系細胞の移植は内外でも定着している報告が多数あるが、そのメカニズムと定着させる環境因子はいまだ明らかになっておらず、引き続き検討を継続している。
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