研究課題/領域番号 |
15591395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 昌八 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助教授 (20196827)
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研究分担者 |
中村 達 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 理事 (00090027)
三岡 博 国立大学法人浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10324360)
坂口 孝宣 浜松医科大学, 医学部, 助手 (70313955)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 脂肪肝 / 肝虚血 / 再灌流傷害 / 肝切除 / 肝再生 / Heme oxygenase 1 |
研究概要 |
肝切除術や肝移植において不可避の事象である虚血・再灌流傷害が肝細胞内に脂肪滴や肝類洞構造の乱れを伴う脂肪肝では強く起こる危険性がある。しかし、脂肪肝の程度により肝切除術における虚血・再灌流傷害に違いがみられるのか明らかにされていない。今年度はheme oxygenase 1(HO-1)発現の面から、程度の異なる脂肪肝の肝切除における虚血・再灌流傷害について検討した。 Wistar雄性ラット(4週齢)にportosystemic shuntを形成するため、左側腹部皮下に脾臓を固着させておいた。程度の異なる脂肪肝を作成するため、特殊配合飼料(Fat-enriched chow)を4週間あるいは12週間与えた。組織学的に4週間摂食ラットでは30-60%の中等度の脂肪肝が作成され、12週間摂食ラットでは60%以上の高度の脂肪肝が作成されることを確認した。肝門部で肝動脈・門脈・胆管を遮断し、60分間の全肝虚血を行った。虚血終了時に全肝の約70%にあたる肝正中葉と左外側葉を切除した。肝切除後7日間生存率に加えて、血漿AST・ALT値、肝組織HO-1発現(Western blot法)、肝組織像について検討した。7日間生存率は正常肝では50%、中等度脂肪肝では42%であったが、高度脂肪肝では25%にすぎなかった。再灌流後6時間での血漿AST・ALT値はすべての実験群で著しく上昇したが、特に高度脂肪肝では正常肝・中等度脂肪肝に比し、有意な増加(AST値:8305±2684IU/l)が観察された。肝組織HO-1発現はすべての実験群で肝虚血前にはほとんどみられなかった。再灌流6時間では高度脂肪肝ラットに比して、正常ラットおよび4週間摂食ラットの肝組織には強い発現が観察された。再灌流6時間の肝組織所見は、正常肝では類洞内にうっ血を伴うfocalな壊死が散在していたが、脂肪肝では壊死の範囲は広く、特に高度脂肪肝ではうっ血性変化も高度であった。高度脂肪肝では再灌流後に肝組織HO-1発現が抑制された状態にあることが、正常肝および中等度までの脂肪肝に比し肝虚血・再灌流傷害が強く起こる一因と考えられる。高度脂肪肝のmarginal donorとしての利用や安全な肝切除を考える上で、HO-1発現を高める手段が重要な治療戦略のひとつになるものと考える。
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