研究概要 |
1 頭蓋内胚細胞腫瘍発生におけるgenetic backgroundの関与に関する知見を得るために,Y染色体に注目して,そのハプロタイプの詳細な解析を行った. 2 男性頭蓋内胚細胞腫瘍35症例から血液を採取しgenomic DNAを抽出した. (1)Y染色体上の多型マーカー,YAP,SRY465,47Zについて,PCR-basedにWAVEを用いて解析し,Y染色体ハプロタイプをD(type 2),02b*(type 3),02b1(type 4),および残りのtype 1(Cおよび0のうち02b*と02b1以外のハプロタイプ)に分類した. (2)男性頭蓋内胚細胞腫瘍患者35例のY染色体ハプロタイプは,type 1=12例(34%),type 2=13例(37%),type 3=2例(6%),type 4=8例(23%)であった.これは健常日本人におけるハプロタイプ分布と同様であった. (3)胚細胞腫瘍組織型の内訳をみると,type 1症例においてはgerminoma 7例(58%),non-germinomatous germ cell tumor(NGGCT)5例(内poor prognosis groupに分類されるchoriocarcinoma 1例),type 2はgerminoma 9例(69%),NGGCT 4例(poor prognosis groupの腫瘍はembryonal carcinomaとyolk sac tumorの混合腫瘍1例,yolk sac tumor 1例),type3+4はgerminoma 6例(60%),NGGCT 4例(poor prognosis groupの腫瘍は0例)であった. 結論.Y染色体ハプロタイプによって頭蓋内胚細胞腫瘍発生頻度に差がみられるのではないかという仮説は否定的であったが,type 1/2のハプロタイプに予後不良群の頻度が高い傾向が示唆された.
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