研究概要 |
KlothoマウスとWildマウスの比較解析結果 I]生理的パラメーターの比較 4週齢及び6週齢両群に於いてKlothoマウスの体重がwild群に比し少なく、高度の有意差がみられた。体温及びヘマトクリットに有意差はなかったが、血糖値はKlotho群が有意に低血糖であった。Klotho群の4週齢と6週齢の生理的パラメーターには有意差はなかった。 II]脳局所糖利用率(local cerebral glucose utilization,LCGU)の比較 4週齢及び6週齢についてwlld群6匹、Klotho群7匹づつでLCGuの測定をおこなった。尚、低血糖群(Klotho)ではSudaらの報告にあるlumped constantを用いLCGUを算出した。 (i)4週齢wild群とKlotho群の比較:4週齢群では新皮質ではKlotho群(kl/kl)はwild群(+/+)に比し有意にLCGUの低下がみられたが、Thalamus,Caudate putamen,Inferior colliculus,Cerebellar cortex,Interna capselでは有意差を認めなかった。 (ii)6週齢Wild群とKlotho群の比較:6週齢に達するとKlotho群ではThalamus,Basal ganglia,Cerebellumを含め全脳にわたってWild群より高度の有意差をもってLCGUの低下が観察された。 (iii)Wild群の4週齢と6週齢の比較:Wild群では4週齢と6週齢の間には全脳にわたって有意差は認めなかった。 (iv)Klotho群4週齢と6週齢の比較:Klotho群内の比較では6週齢のLCGUは全脳にわたって4週齢より高度に有意に低下していた。 Klotho mouseにおけるアセチルコリンによるNO系を介する脳血管の反応性の低下、これは前田らの先の実験結果から前脳基底部の関与が示唆されていたが、Klotho mouseの4週齢に於いて、特に前脳基底部のLCGUが特異的に低下を来たしている所見は得られなかった。ただ、3週齢と4週齢との間でこれら特定の部位(前脳基底部やコリン作動系受動性橋被蓋領域)の機能低下が先行して発現している可能性は充分に考えられる。3週齢〜4週齢の間ではKlotho mouseの体重は更に小さく実験か極めて困難であるが、今後検討してみたいと考えている。
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