研究概要 |
われわれは当該研究期間において以下の成果を得た. 1.イムノブロットによる尿中カルレティキュリンの定性評価. われわれは尿中のカルレティキュリンを定量的イムノブロットで測定し,妥当なカットオフを設けて陽性/陰性を定義した.この手法で膀胱癌患者尿70検体,対照患者尿181検体を判定し,既存のマーカーと遜色ない感度73%,特異度86%の診断成績を得,論文発表した(Kageyama et al. Clin Chem 2004). 2.カルレティキュリンを含む複合マーカーの開発. カルレティキュリン以外にプロテオーム解析によりマーカー候補物質として得たγシヌクレインおよびカテコール-ο-メチルトランスフェラーゼについても検討を加えた.これら3物質を同時測定する複合マーカーを設定し,膀胱癌患者尿112検体,対照患者尿230検体で検討したところ,カルレティキュリン単独では感度71.4%,特異度77.4%であったが複合マーカーではそれぞれ77.4%,77.8%と診断能の改善を認めた(Iwaki et al. Cancer Science 2004). 3.尿中カルレティキュリン測定ELISAキットの作製. 大腸菌によるリコンビナントヒトカルレティキュリン蛋白質を作製し,これを標準物質として2種の市販抗体による2抗体サンドイッチELISAを作製した.試料を膀胱癌患者尿109検体,対照者(健常者)尿40検体としてカットオフを5ng/mLとしたところ,感度65.1%,特異度95.0%の診断効率を得た.(論文未発表)
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