研究課題
基盤研究(C)
子宮頸部に発生する扁平上皮病変(扁平上皮癌を含む)はその原因としてHPV(Human papillomavirus)が関与していることが明らかにされているが、腺癌においても同様に発癌関与している可能性がある。子宮頸部腺癌におけるHPV陽性率は報告によって30〜90%とばらつきがあり、また腺癌病変の周辺にはしばしば扁平上皮病変を伴うため、これまでの報告が腺癌部の感染の状態を正確に反映しているか、あるいは扁平上皮に感染したHPVを観察しているのかははっきりしない。本研究ではLaser capture microdissection法により、子宮頸部腺癌部のみのHPV感染を厳密に確認することで、腺癌においても扁平上皮癌と同様にHPV感染が発癌の契機となっているのかを検討した。子宮頸部腺癌症例60例(類内膜腺癌19例、内頸部型37例、腸型1例、低分化腺癌2例、未分化腺癌1例)についてLaser capture microdissection法を用いて腺癌部のみを扁平上皮部、間質と別に採取し、コンセンサスプライマーを用いたPCR-RFLP法によりHPVのタイピングを行った。腫瘍部のHPV感染の有無を検討すると60例中38例(63.3%)でHPV感染を認めた。内訳は内頸部型37例中21例(56.8%)、腸型1例は陰性、類内膜型19例中15例(78.9%)、低分化腺癌2例中1例、未分化腺癌1例中1例であった。陽性例38例中32例が18型に感染していた(複合感染7例を含む)。一方、扁平上皮病変(CIN)では検討が可能であった16例中5例(31.3%)でHPV18型に感染していた。腺癌部と扁平上皮部で異なる型のHPVに感染している症例はなかった。以上より扁平上皮の混入をなくした頸部腺癌細胞そのものにHPV感染が認められることが明らかとなり、18型感染が優位であることが確認された。また、共存する扁平上皮病変と同一の型のHPV感染であることを証明した。
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