研究課題/領域番号 |
15591739
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教授 (30273189)
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研究分担者 |
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
須床 和恵 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (40343199)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / VEGF / phosphatidylserine / 妊娠マウス / 妊娠高血圧症 / 胎盤内血栓 / 妊娠中毒症 / 光誘発胎盤内凝固 / 胎児子宮内発育遅延 / マクロファージ / MIF / フォスフアチジルセリン / アンチセンスMIFアデノウイルス / プロテインC / 胎仔発育遅延モデル |
研究概要 |
本研究では胎盤内過凝固による妊娠高血圧症候群発症の機序解析手段の確立として I)陰性荷電リン脂質フォスファチジルセリン(PS)誘発マウス妊娠高血圧症候群様モデルにおける凝固系諸因子の変動に関する検討II)p57^<kip2>ノックアウト妊娠マウス高血圧症モデルにおけるVEGF高発現に基づき、VEGFによる妊娠高血圧症候の誘発に関する検討を行った。妊娠高血圧症候群((妊娠中毒症)発症に関るふたつの基礎的動物実験モデルを確立したとともに、同モデルが発症に関ることを示した。すなわち血小板膜由来phosphatidylserine/phosphatidylchorine(PS/PC)微小胞、およびvascular endogenous growth factor(VEGF)が妊娠高血圧症様の症候を妊娠マウスにおいて惹起しえたというもので、これらPS/PCならびにVEGFが病態形成に関与しているといえる。 I)妊娠ICRマウスの妊娠5.5日から16.5日に尾静脈よりPS/PC微小胞(1mg/日)を投与(A群)、コントロールには生理食塩水を投与し(C群)経時的に血圧を測定した。妊娠17.5日に麻酔下に屠殺し、血清中アンチトロンビン、TATを測定した。また一部胎盤をホルマリン固定し組織学的検討を行った。A群はC群と比較して平均血圧、TATの有意な上昇、アンチトロンビン、血小板数の有意な低下を認めた。胎盤の組織学的検討においてもA群はC群と比較して迷路層での広範なフィブリン沈着を認めた。以上より、PS/PC微小胞は胎盤内過凝固ならびに血圧上昇を惹起し、結果として妊娠高血圧症発症の機序の一部に関与していることが示された。 II)妊娠ICRマウスの妊娠5.5日から16.5日に尾静脈よりrecombinant murine VEGF(10ng/日)を投与(A群)、コントロールには生理食塩水を投与し(C群)、経時的に血圧を測定した。同時に抗VEGF中和抗体(25μg)投与もおこなった(B群)。妊娠17.5日に麻酔下に屠殺し、血清中アンチトロンビン、TATを測定し、一部胎盤をホルマリン固定し組織学的検討を行った。A群はC群と比較して平均血圧、TATの有意な上昇、アンチトロンビン、血小板数の有意な低下を認めた。またB群ではA群と比較して平均血圧の有意な上昇は認められなかった。胎盤の組織学的検討においてもA群はC群と比較して迷路層での広範なフィブリン沈着を認めたが、B群ではフィブリン沈着が抑制されていた。以上より、VEGFは胎盤内過凝固ならびに血圧上昇を惹起した。p57^<kip2>ノックアウト妊娠マウス高血圧症モデルにおけるVEGF高発現は妊娠高血圧症候群の中心的役割をなしているタンパク質のひとつであることが示された。 PS/PCは血小板の活性化により放出されprocoagulantな場を提供する因子である。またVEGFは妊娠高血圧症患者血中での増加が認められる血管新生因子のひとつである。過凝固状態を惹起するPS/PCや血管新生を増強する因子が妊娠高血圧症候群様の症候を妊娠マウスで引き起こしたことによりこれら因子が病態形成に中心的役割を担っていることが示唆された。
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