研究課題/領域番号 |
15591744
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (00283614)
|
研究分担者 |
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (30252456)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 絨毛 / 胎盤形成 / 着床 / ラセン動脈 / ケモカイン |
研究概要 |
【研究の背景】 着床後、胚由来の絨毛細胞は絨毛上皮を構成するvillous trophoblastと、絨毛の先端部から母体側脱落膜へ向かい浸潤するextravillous trophoblast(EVT)の2つの経路に分化する。EVTは着床部から母体側に向かい子宮内膜から子宮ラセン動脈血管平滑筋・内皮に浸潤し、これに伴う血管抵抗低下が胎盤循環の確立に重要であるとされている。我々は子宮内膜に浸潤するEVTに特有の浸潤抑制機構の解析を行ってきたが、その過程で母体血管周囲のEVTでは浸潤能が維持されており免疫細胞がその浸潤誘導因子である可能性を示唆する知見を得た。この母体血管周囲のEVTに何らかの誘導機構が存在するという概念は母体血管浸潤による胎盤循環の確立というEVTの機能を考えると合目的的であり、本概念は近年EVTの浸潤不全が関与するとされている子宮内胎児発育遅延・妊娠中毒症等の病態・治療を考える上でも重要であると考えられる。そこで本研究では免疫系細胞によるEVTの母体血管内浸潤誘導機構を解析することをその目的として以下の解析を行った。 【結果】 1)ヒトEVTにおけるケモカイン受容体の発現の検討 RT-PCR法によるスクリーニングの結果、ヒトEVT初代培養細胞に於いてケモカイン受容体であるCCR1、CCR10及びXCR1の発現が確認された。その中でCCR1はcell columnを構成するヒトEVT及び母体血管に向かうEVTに限局して発現することが免疫組織染色法により確認された。 2)ヒトEVTの浸潤に及ぼすケモカインの作用の検討 CCR1のリガンドであるRANTESは母体血管周囲の免疫系細胞に発現を認め、更にRANTESの存在により分離ヒトEVT細胞の浸潤能が亢進することが確認された。 3)ヒトEVTにおけるケモカイン受容体の発現制御因子の検討 分離初代ヒトEVT細胞におけるCCR1の発現制御因子を検討したところ、低酸素状態及びヒト脱落膜組織との共培養によりCCR1の発現は低下した。 【結論】 以上の結果より、EVTに発現するケモカイン受容体であるCCR1は高酸素環境である母体血管周囲ではその発現が維持されており、母体血管周囲の免疫細胞から産生されるCCR1のリガンドであるRANTESの作用によりEVTが母体血管に向けて浸潤誘導されている可能性が示唆された。
|