研究課題/領域番号 |
15591775
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
松原 茂樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (20209597)
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研究分担者 |
渡辺 尚 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90265265)
大口 昭英 自治医科大学, 医学部, 講師 (10306136)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 羊膜 / 卵膜 / 胎盤 / マクロファージ / 電顕酵素組織化学 / 早産 / 白血球 / 貪食 / 組織化学 |
研究概要 |
ヒト羊膜上皮細胞は細胞内小器官と細胞質の明るさがそれぞれ異なった2種の細胞から成る、と報告されてきた。本研究ではヒト羊膜上皮細胞の形態を種々の細胞化学的手法を用いて電顕レベルで検討した。その結果、1)化学固定標本では細胞質明度の異なる2種の細胞が認められた。しかし、2)両細胞の細胞内小器官(Golgi装置とミトコンドリア)数に差はなく、3)小器官の形態も両細胞間で差がなく、4)酵素組織化学的に検出可能な酵素活性局在パターンにも差はなく、さらに5)急速凍結置換固定標本では細胞質明度差は認められなかった。以上から、ヒト羊膜上皮細胞にsubpopulationはなく、形態学的には1種の細胞から構成されているものと結論された。 次に、早産での母体白血球の卵膜内浸潤様式を電顕酵素組織化学的に検討した。早産の卵膜では、正常の卵膜に比較して、より多数の母体白血球が浸潤していた。浸潤白血球は卵膜の基底膜上に並び、myeloperoxidase組織化学では形態学的活性化所見を示していた。 さらに、早産胎盤卵膜でのマクロファージ(胎児側細胞)の形態学的特徴付けを行った。まず、マクロファージの活性化・貪食能亢進所見を形態学的に明示するために、glucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)酵素活性をマウス肝臓マクロファージ(Kupffer)で明示した(陽性対照実験)。G6PDは細胞質の小胞体外側に認められた。次に貪食能を示すもう1つの酵素acid phosphatase(ACP)をG6PDと同時に検出し、絨毛マクロファージでのG6PDとACPの電顕2重染色を行った。早産・流産胎盤では正常胎盤に比べて、G6PD陽性かつACP逸脱現象を示すマクロファージ(活性化マクロファージ)が多く、これは統計学的に有意であった。 以上から本研究で、ヒト羊膜の超微形態が明示され、早産卵膜への母体白血球浸潤様式が明らかとなり、さらに早産での胎児側マクロファージの活性化現象が始めて明らかになった。流早産の卵膜・胎盤では母体貪食細胞だけでなく胎児側貪食細胞も貪食能が亢進しており、これが流早産の1病因となっていることが示唆された。
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