研究概要 |
頭頸部癌の癌化に関わる癌抑制遺伝子p16,FHIT, RAR-β,RASSF1Aの異常メチル化の頻度と臨床病理学的因子との関連を明らかにすることを目的に実験をおこなった.臨床への応用として,唾液中に含まれる微量の癌細胞のDNAメチル化を検出し,唾液検体による癌診断や経過観察に応用できるかどうかを検討した. 1)研究材料 本学付属病院で検査,治療を受けた頭頸部癌患者から採取した癌組織を用いた.また治療前に採取した唾液を用い,スクリーニングや治療後の経過観察用の検体とした. 2)研究方法 頭頸部癌組織からDNA抽出キットを用いて腫瘍DNAを抽出した.同時に唾液を採取し,DNAを抽出し検体材料とした. 以上の検体をDNA modification kitでBisufite処理し,Methylation Specific PCR法でDNA異常メチル化を解析した.対象とした癌関連遺伝子はp16,FHIT,RAR-β,RASSF1A遺伝子である. 3)結果 遺伝子のプロモーター領域のメチル化は約6割の症例に認められた.唾液検体より抽出したDNAで同様のメチル化陽性所見を検出できた.術前,術後の変化について検討したところ,診断のスクリーニングや治療後のフォローアップに応用できる可能性を示した. 以上の結果は16年5月の日本耳鼻咽喉科学会,8月の世界頭頸部癌会議,9月の日本癌学会で発表し,日本耳鼻咽喉科学会会報に投稿,掲載予定である.
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