研究概要 |
樹状細胞-オステオポンチンをシステムとしてとらえた結膜アレルギーに対するアレルギー学的および系統的な研究を行い,以下のような結果を得た。 IgE陽性活性化樹状細胞はアトピー性皮膚炎合併成人例の結膜上皮内および上皮下に見られた。オステオポンチン陽性活性化樹状細胞はほぼ全例で見られたが,臨床スコア25以上の重症例でその密度が高い傾向があった。IgE陽性ランゲルハンス細胞はアトピー性皮膚炎合併例の結膜上皮下に見られたが,全例ではなかった。オステオポンチン陽性ランゲルハンス細胞は小児例で見られたが,発現密度は低かった。結膜上皮内CD83樹状細胞はOVA感作10日後から発現が見られ,OVA点眼刺激後にさらに増加して,点眼後2日目に最も多く見られた。さらに,E-cadherin陽性細胞はOVA感作11日後と,早期からの出現が見られた。Integrin陽性細胞はMHC II陽性細胞と同様に,やや遅れて,OVA感作13日後から出現していた。一方,costimulatory moleculeとオステオポンチン陽性の樹状細胞はOVA点眼刺激後から出現しており,そのピークはOVA点眼2日後で,臨床所見が最も強い時期とほぼ一致していた。以上から春季カタル巨大結膜乳頭にはランゲルハンス細胞や樹状細胞が広く見られ,その中でもIgE陽性ランゲルハンス細胞とオステオポンチン陽性活性化樹状細胞の重症化との関わりが示唆された。結膜アレルギー反応における樹状細胞の活性化においては,その初期段階の成熟反応において,E-cadherinとintegrinは主要な役割を担っており,これに対しcostimulatory moleculeやオステオポンチンは炎症の進行においてその機能の発現を示していることが推測された。
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