研究分担者 |
新垣 隆資 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40294417)
苔口 進 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10144776)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
福井 一博 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70034171)
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
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研究概要 |
<バイオフィルム(BF)形成過程の観察> Actinobacillus actinomycetemcomitans(Aa)の野生株では,表面への付着初期では多数の線毛産生が観察されるが,成熟バイオフィルムでは線毛産生が抑制され,菌と菌が密に接着している様子(自己凝集)が観察された。菌体表面には多糖様構造物も観察された。BF形成に伴うミクロな環境変化に応答して,菌体表層物質の産生調節が起こることが示唆された。<BF形成と色素結合性> BF形成株ではコンゴレッド色素に対する結合性を示したが,非形成株では示さなかった。線毛遺伝子破壊株でもこの結合性は保持されており,色素結合性は線毛以外のBF形成因子の存在を示すものと考えられた。この色素結合性は,過ヨウ素酸処理により消失したことから菌体表層多糖の合成を反映していると推察された。ゲノム遺伝子解析から,コンゴレッド結合性多糖合成遺伝子クラスターのホモログが本菌に存在することがわかり,その中の一つの遺伝子破壊株を作製したが,BF形成への明らかな影響は検出できなかった。この遺伝子クラスターとBF形成との関係について,より詳細な検討が必要である。<自己凝集アッセイ> 菌体表層多糖と自己凝集との関連性を検討した。過ヨウ素酸処理,DNA分解酵素処理で自己凝集が完全に抑制されたことから,自己凝集には菌体表層の多糖に加え,DNAも関与することが示された。<白血球毒素産生の調節> BF形成と毒素産生へのカタボライト抑制調節タンパク質Crpの影響を調べるために,crp遺伝子破壊株の作製を試みたが分離できなかった。Aaではcrpが必須遺伝子である可能性が示唆された。また,毒素産生は酸性pHにより促進されることから,BF形成過程における局所pHの低下は毒素産生増加に働くことが示唆された。
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