研究概要 |
ラット顎下腺主導管上皮(tuft細胞,明調細胞I型とII型,暗調細胞,および基底細胞から構成)の機能を解明する目的で,次の事を当該研究期間内に行った。 1.3量体G蛋白質αサブユニット(Gα-gustducin, Gα-O)の発現Wistar系雄性ラット(9週齢)を用い,免疫染色(光顕,電顕),RT-PCR, in situ hybridizationにより検討した。 1)Gαgustducin : tuft細胞,明調細胞II型にはGα-gustducinを介する受容体が存在する。 (1)免疫染色:Gα-gustducinの局在を示す銀粒子は特定細胞に限局して存在していた(光顕免疫)。電顕にて免疫染色してみるとGα-gustducinの局在を示す銀粒子はtuft細胞の微絨毛,頂部細胞質に存在するtubulovesicular systemの周辺と核下部の小胞周辺に観察された。明調細胞II型の管腔面の形質膜や直下の小胞の近傍に銀粒子は存在していた。 (2)RT-PCR:主導管上皮の抽出液からGα-gustducinは検出された。 (3)in situ hybridization : tuft細胞,明調細胞II型と思える細胞に反応が存在した。 2)GαO:主導管を構成する細胞(基底細胞は除く)の頂部にGαOを介する受容体が存在する。 (1)免疫染色:GαOの局在を示す銀粒子はほとんどの細胞頂部に存在していた(光顕免疫)。電顕にて免疫染色してみるとGαOの局在を示す銀粒子はtuft細胞,明調細胞I型とII型,暗調細胞に観察された。特にtuft細胞の微絨毛,頂部細胞質に存在するtubulovesicular systemの周辺と明調細胞II型の管腔面直下の小胞周辺に多く観察された。 (2)RT-PCR:主導管上皮の抽出液からGαOは検出された。 (3)in situ hybridization : tuft細胞,明調細胞I型とII型,暗調細胞に反応が認められた。 2.ラット顎下腺主導管上皮のH^+/K+ATPase(H^+排出)の変化を動物を酸性状態とアルカリ性状態にして免疫染色(光顕,電顕)を行い検討した。 対照群では主導管の各細胞全体にが反応を示すが,酸性状態にしたときには管腔側の細胞質に強い反応がみられた。アルカリ性状態にした時にはH^+/K^+ATPaseの反応は弱かった。
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