研究課題
基盤研究(C)
サルに舌運動、咀嚼運動および嚥下運動をおこなわせ、大脳皮質一次運動野、一次体性感覚野および皮質咀嚼野のニューロンの活動の変化を記録した。十分な数のニューロン活動記録データを得た後、サルの頭部に固定用金具を取り付けた。サルをモンキーチェアーに座らせた後、視覚刺激に基づく行動選択が要求される認知課題を行わせた。サルは眼前に置かれたディスプレイに表示されるカーソルに応じて舌運動を行い、前述した各大脳皮質領域からのニューロン活動の記録をおこなった。一次運動野、一次体性感覚野および皮質咀嚼野から記録された700個のニユーロンのうち、各々71%、61%、15%のニューロンは舌運動に関連した活動を示し、各々81%、83%、88%は咀嚼運動関連活動、各々26%、0%、55%は嚥下運動関連活動を示した。また舌運動関連ニューロンの270個において、認知課題習得前後での活動の変化を比較した。課題遂行前では舌運動に関連した活動を示すニューロンの割合は一次運動野、一次体性感覚野および皮質咀嚼野で各々23%、25%、40%であったが、課題習得後では各々79%、54%、35%となり、一次運動野と一次体性感覚野において有意に舌運動関連ニューロンの割合が増加した。これらのことから一次運動野、一次体性感覚野および皮質咀嚼野の口腔顔面領域は舌運動の制御機構、咀嚼運動制御機構、嚥下運動制御機構にそれぞれ重要な役割を果たしていることが推察された。さらに課題習得前後で舌運動に関与する一次運動野および一次体性感覚野のニューロン活動に可塑的変化が認められたことは、摂食・嚥下リハビリテーションなどでおこなわれるトレーニングなどが脳の可塑的変化を誘発し、脳の賦活を引き起とす可能性を示唆するものと考えている。
すべて 2005
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