研究概要 |
Tリンパ球の炎症刺激下でのクローンの拡大とアポトーシスによる縮小の制御は炎症の経過に極めて重要である.従って,アポトーシスがストレスに対応して始動されるか,回避されるかが重要な鍵となる.なかでも様々なストレスによる生体のエネルギー擾乱に対応するAMP活性化キナーゼ(AMPK)はその制御の鍵を担っている.AMPKは触媒ユニットであるα,と調節ユニットであるβ,γの3つのsubunitによる三量体で,各subunitは2-3種のisoformを有している.本研究ではマウス組織に特徴的はその構成を明らかにした.飢餓ストレスは胸腺細胞,筋細胞でいずれもその主isoformのmRNAとタンパクの発現、up-regulationされ,特にリン酸化AMPK・の上昇が認められた.胸腺細胞ではこれらの発現上昇は飢餓に伴うグルコルチコイド血症と低血糖による制御が示唆された.AMPKを活性化するaminoimidazolecarboxamide-riboside(AICAR)の前処理で培養胸腺のアポトーシスがBcl-2ファミリータンパクの制御により回避された.しかも,PKCの活性化を伴うとアポトーシスの回避の増強が観察された.さらに,授乳期から成獣期への咬筋の発達にともないその組成が変化することから筋線維の型変化とも関わっていることが示唆された.ストレス対応にはユビキチン・プロテアソーム系が関わり,その抑制はアポトーシスの抑制,あるいはPKCとの協調で促進することもあり,しかもAMPKの活性化でFASリガンドの発現が抑制されリンパ球のactivation-induced cell deathもまた抑制されつことが明らかなり,ストレスによるアポトーシスの回避と始動にAMPKが重要な機能をもっていると考えられた.
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