研究概要 |
歯科用光照射器の光源はハロゲンランプがほとんどを占めていたが,最近はレーザー,キセノンランプ,発光ダイオードといった光源を使用した照射器が開発され,発売されるようになった.しかし,これらの光源は図に示すようにハロゲンランプと波長特性が大きく異なる.そのため現在市販され,臨床において使用されている光重合型材料への影響が懸念されている. 我々の研究グループはキセノンランプ,LED等についてはすでに学会等に報告,発表を行っているが,今回は,さらに新しい可能性を持つ光源として青色〜青紫色半導体レーザーをもちい,光特性と各種光重合型材料の硬化についてLEDおよび従来型の照射器と比較検討した. 青色半導体レーザーの波長域はLEDと比較するとさらに狭く,青紫半導体レーザーはほとんどの光重合型材料を重合することが出来なかった.しかし,一部のコンポジットレジンにおいての十合が確認された.これらの材料は,青色発光ダイオードでは重合不能な材料であり,これらに含まれる感光材の反応域に青紫の半導体レーザーの波長域が一致したためと考えられる. 青色半導体レーザーは,重合自体は可能であったが,厚さ2mmの試料においても,底面の硬化は十分でなかった.これらのことより,青色半導体レーザーは照射器光源としては使用可能であるが,現時点では未だ出力が小さく,実際に使用するのは難しいと判断された.しかし,半導体の性能はIT機器への応用と共に,年々向上しており,近い将来高出力型の半導体レーザーが登場することが期待される. そこで,レーザー光の特徴である高い直進性について着目した. ストレートライトガイドと,テーパーのついたライドガイドでは同じ入射角度で光を当てるとテーパーのついたライトガイドのほうが,出射角度が大きくなるために,遠距離照射で減弱くなるが,レーザー光は,他の光源と違い,直進性に優れた平行光を放射するために距離による減弱も少ない. 今後,光強度の大きな半導体レーザー光源が開発された時に有利な点となるであろう.将来的には高出力型の半導体レーザーを光源として用いた光照射器の開発は可能であると思われる.
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