研究概要 |
平成15年から17年までの3年間に行った研究の成果は以下のとおりである. 1.微小圧力センサーを使用した呼気圧を測定する簡易の微小圧測定装置を製作した. 2.顎補綴患者の発音機能回復の評価法として多くの医療施設で語音明瞭度検査と会話明瞭度検査が用いられていたが,本研究では鼻咽腔ファイバースコープ検査,呼気流量測定,音響分析などを用いてより詳細に評価した.今後は簡便で広く用いられている語音明瞭度検査と会話明瞭度検査を用いて評価することも検討することにした. 3.顎補綴患者の嚥下機能回復の評価法としては水のみテストとビデオ嚥下造影検査(VF)が用いられていたが,本研究ではVFで評価を行った.水のみテストは誤嚥の危険性があり,顎補綴患者に対して用いる場合,水の量を考慮して行わなければならないことが明らかになった. 4.顎補綴患者の咀嚼機能回復の評価法として摂取可能食品アンケートによる評価が多くの医療施設で行われていた.本研究においてもこの方法で咀嚼機能回復を評価したが,これらのアンケート表は数種類あり,またほとんど全部床義歯装着者の機能回復を評価するために作成されたものであるので,どのアンケートが顎補綴患者の機能回復の評価に適しているか検討する必要がある. 本研究から顎補綴患者のQOL(Quality of Life)の向上を図るためには患者の満足度(Patient Satisfaction)も考慮して補綴装置の評価を行わなければならないことが新たに明らかになった.
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