研究概要 |
<平成15年>スプリント療法の効果を咬合状態の変化というパラメーターから検討した。 1.スプリント治療前後の咬合状態の比較検討。 方法:ブラキシズム患者で、筋・筋膜疼痛を有する者30名と有しない者30名のスプリント療法前後の咬合状態を比較した。 結果:治療前後で上記の咬合状態が変化した全体的な頻度は筋・筋膜疼痛を有した群が有しなかった群よりも高かった(86.7%、63.3%;_χ2検定、p<0.05)。 2.顎関節症の各症状に対するスプリント療法による、症状消退時期の比較検討。 方法:顎関節症患者128名にスプリントによる単独処置を行い、各症状の消退時期を比較検討した。 結果:疼痛(6.8週)は顎関節雑音(12.0週)に比較して有意に短かった(p=0.001)。疼痛のみ(5.1週)は疼痛+開口障害(8.2週)や疼痛+雑音(6.4週)に比較して短かった(p<0.05)。 <平成16年度>スプリント治療前後での関節円板の位置の変化を調査した. 1.スプリント療法による関節円板の位置変化の検討 方法:関節円板が前方転位していた顎関節症患者20名を対象にした. 結果:15名が非復位性で,5名が復位性円板転位であった. 平均13.6週のスプリント療法後,すべての患者の円板は前方転位してままであった. 2.MRIにおける関節円板の位置と顎関節症症状の検討 方法:顎関節症患者20名を対象とした.復位性円板前方転位と非復位性前方転位と比較した。 結果:初診時の症状とMRI:雑音10名中非復位性7名,復位性3名;疼痛10名中非復位性8名復位性2名,開口制限9名中非復位性8名復位性1名 症状期間:非復位性114.1±23.4週,復位性128.4±65.4週(U value=34.5,p=0.793) 以上から円板位置と顎関節症症状は関連性が少ないことが示唆された。
|