研究概要 |
高齢者に対する訪問歯科診療時におけるアルジネート印象の消毒と保管を目的とした薬液スプレー消毒法について検討を行った. アルジネート印象の薬液スプレー消毒法(印象に薬液をスプレー後密閉容器中に保管する方法)が,片側顎堤断面模型の寸法変化および変形に及ぼす影響を,保管時間1,2,3,4時間),混水比の減少(製造者指示-0.2),トレータイプの相違(近遠心方向が密閉および開放,有孔および無孔)などについて,三次元座標測定装置により測定した.アルジネート印象の薬液スプレー消毒後の保管が模型の表面精度に及ぼす影響は,保管時間,混水比の減少について,表面粗さ形状測定機により表面粗さ(Ra)を測定した.また,アルジネート印象の薬液スプレー消毒後の保管が模型の表面硬さに及ぼす影響についても,引っ掻き硬さにより検討した.薬液は1%次亜塩素酸ナトリウム溶液,2%グルタルアルデヒド溶液の2種類とした. 市販アルジネート印象材12製品の100%相対湿度中の寸法変化を測定した結果,寸法変化の大きさは製品によって異なり,100%相対湿度中の寸法変化が小さい製品があることが判明した.100%相対湿度中の寸法変化が小さいアルジネート印象材製品では,混水比の減少,トレータイプの相違にかかわらず,1%次亜塩素酸ナトリウム溶液,2%グルタルアルデヒド溶液のいずれをスプレーしても,スプレー後の密閉容器中の3時間までの保管は,片側顎堤断面模型の寸法変化および変形にほとんど影響を及ぼさないことが判明した.また,アルジネート印象の薬液スプレー消毒後の保管は,1製品で1%次亜塩素酸ナトリウム溶液スプレー後の保管による表面粗さの増加が認められたが,.他の製品では表面粗さおよび引っ掻き深さを増加させなかった.
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