研究概要 |
15年度において、スキャホールドとして用いるリン酸カルシウム系セメントの開発を完了した。開発されたリン酸カルシウム系セメントは、生体親和性に優れ、約3ヶ月経過後徐々に自己崩壊をして新生骨生成のさらなるスペースを確保する機能を有した。 この結果をふまえ、16年度はこのセメントをスキャホールドとして用いて動物実験および細胞を培養し,本セメントへの細胞の嵌入の状態を検索した。 すなわち,本セメントをウサギ頭頂骨に形成した骨窩洞に充填し、経時的に新生骨生成量を検索した結果、1,2,4および6ヶ月と経時的に自己崩壊量が増加し、それにともなう新生骨の増生が観察された。 引き続き,細胞培養試験によってセメントの組成,粒径による細胞親和性,増殖性について検討した.その結果,材料粒径が最も小さな組成によって生成されたセメントは,自己崩壊後も細胞が嵌入する空隙が小さく,細胞の嵌入は少なかったのに対して,粒径の大きなものと小さなものを混和したセメントは,自己崩壊後に粒径の大きな部分の脱落による大きな空隙がいたるところにみられ,その部分に細胞の嵌入があった. このことから,スキャホールドとして,「リン酸カルシウムセメント-細胞」複合体となるような機能的性質を持たせるためには,細胞が嵌入しやすい200〜500μmの空隙が出来る自己崩壊性を有するセメントの調整が有用であることが判明した.
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