研究概要 |
直接法レジン支台築造におけるレジンの重合収縮応力の軽減とコアの補強を目的として,メガフィラーを充填する新しい支台築造法を提案した。本研究では,メガフィラーの填入によるコアレジンの圧縮特性の変化からコアの補強効果を,また,レジン支台築造体のサーマルサイクル試験による接着耐久性の評価からレジンの重合収縮応力の軽減効果を検証した。 メガフィラーとして,粒径3mmまたは4mmのシラン処理したアルミナ(Al_2O_393%/SiO_25%)ボールとMDP処理したステンレス(SUS304)製ボールを使用した。直径5mm,高さ8mmの円柱状コアレジン試料にこれらのフィラーを填入した際の圧縮特性を調べた。その結果,圧縮強さに大きな変化は認められなかったが,弾性率および耐力がレジン単身に比較して有意に向上した。弾性率は変形の目安となるが,メガフィラーの填入による弾性率の向上は,コア全体が変形しにくくなったことを意味しており,耐久性の向上に寄与することが示唆された。 牛歯歯根に直径5mm,深さ5mmの窩洞(窩底部は半円球状)を形成し,2回積層法により直接レジン充填を行った。2種の接着システムを評価した。試料に4℃冷水および55℃温水中に1分間ずつ交互に浸漬する熱ストレスを5,000回および10,000回負荷した後,半分に切断し,その窩洞周囲の漏洩状況を評価した。レジン単身の試料では,2回積層法を行ったにも拘わらず窩底部に近い象牙質との境界部にギャップを認める試料が多数認められた。その割合は接着力の低い接着システムを使用した場合に顕著であった。一方,メガフィラー填入群では,いずれの接着システムを使用した場合もギャップの形成はほとんど認められなかった。これらの結果から,メガフィラーを使用することによりレジンの重合収縮,熱収縮応力が軽減され,直接法レジン支台築造の封鎖性,接着耐久性が向上することが示唆された。
|