研究概要 |
1.PRIP-1の発現をON/OFF調節が出来る系をHeLa細胞(内在性PRIP-1 and -2を有していない)を用いて構築した。それらの細胞を用いてPRIP-1の有無による細胞増殖速度の相違を検討した。PRIP-1の有無による細胞増殖速度の相違を検討したが、著明な差異は認められなかった。 2.野生型とPRIP-1 and -2のダブルノックアウトマウスから線維芽細胞を調製してこれらの細胞について増殖速度などを野生型のそれと比較したが相違は認められなかった。 3.細胞延命機構に関わるAkt活性化の素過程(PI3K活性化、PDK活性化、Akt活性化、NFkBの活性化など)に対するイノシトール6リン酸(InsP_6)の効果についてHeLa細胞を用いて検討し、PI3Kは抑制しないが、PDK活性化、Akt活性化などは抑制されることが分かった。このようにして、InsP_6はアポトーシスによる細胞死を導く。この際にPRIP-1を発現させた細胞と比較したが、著明な相違は認められなかった。細胞外から加えたInsP_6のような極性の高い分子が、細胞内に入ってどのようなイノシトールリン酸類に代謝されるかについて検討した。そこで[^3H]InsP_6を用いてHeLa細胞によって代謝されたイノシトールリン酸を同定して、Ins(1,2,4/6)P_3、Ins(1,2,3,4/6)P_4、Ins(1,2,3,4,6)P_5、Ins(1,2,3,4,5)P_5、Ins(1,3,4,5,6)P_5およびInsP_6が蓄積すると結論した。なかでもIns(1,2,3,4/6)P_4およびIns(1,2,3,4,6)P_5の蓄積は顕著であった。ここでも、PRIP-1の有無は著明な相違を引き起こさなかった。しかし、ヒストンをInsP_6と共に用いると効果があがることを明らかにした。
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