研究概要 |
平成15年度分の成果 未分化間葉系幹細胞の増殖・分化に対する各種増殖因子の影響;ウサギ骨髄より抽出した未分化間葉系幹細胞を3次元コラーゲンゲル上に播種し、培養を行うことに成功した。さらに、各種増殖因子存在下で培養を行い、増殖能および分化能を検討した。その結果、bFGF存在下において、未分化間葉系幹細胞は分化が抑制されるとともに、増殖能の向上が認められることが明らかとなった。また、TGP-β存在下では、未分化間葉系幹細胞から軟骨細胞への分化が達成されることが示された。 未分化間葉系幹細胞の分化・増殖に対する各種細胞外基質分子の影響;ウサギ歯根膜細胞に対する、RGD-CAPの影響の検討では、RGD-CAPによる歯根膜細胞の石灰化抑制能が明らかとなった。また、ヒアルロン酸の影響の検討では、細胞周囲のヒアルロン酸を分解することにより、歯根膜細胞の増殖が抑制されることが明らかとなり、その一方で、コラーゲン合成は亢進することが明らかとなった。 平成16年度分の成果 平成15年度の結果に関連して、軟骨細胞の分化におけるヒアルロン酸の機能を検討した結果、軟骨基質の形成には、ヒアルロン酸が重要な役割を果たしており、その代謝調節にはヒアルロン酸合成酵素(HAS2,3)およびヒアルロン酸分解酵素(HAYAL1,2)が関与していることをつきとめた。さらに、軟骨分化に特異的な段階である肥大期においても、ヒアルロン酸が軟骨細胞の肥大化に直接関与し、その代謝調節がHAS2,3およびHYAL1,2により行われている可能性を示唆した(Suzuki A.,et al. Biochim Biophys Acta.,1743(1-2),2005)、(Tanimoto K.,et al. Cell Tissue Res. 318(2),2005)。 また、RGD-CAPの強制発現ベクターおよびsiRNAを用いた際の、歯根膜細胞の増殖能・分化能を検討した。mRNAのクローニングを行った後、これを強制発現ベクターに形質転換し、目的蛋白の発現の確認に成功した。その結果、RGD-CAPによる歯根膜細胞の石灰化抑制能が明らかとなった(Doi T.,et al.,Arch Oral Biol.,48(8),2003)。
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