研究概要 |
今年度は以下の研究を行った。(1)唾液分泌速度を変化させて、口腔内3箇所のpHを同時にモニタリングし、唾液の影響による各部位のpHの変化を調べる。(2)唾液の流速、pH、緩衝能などの個人内変動ついて調べる。(3)プラークを沈着させた後、糖液によるpH低下後の回復の様相についてモニターする。 その結果、唾液分泌速度を変化させて口腔内3箇所(下顎前歯部舌側、上顎前歯部唇側、上顎臼歯部頬側)、のpH変化をモニターした結果、安静時唾液が著しく減少している間は、pHは各部位とも唾液分泌が多い時と比較して低下する傾向が認められた。その低下率は、下顎前歯部舌側が最も大きく、唾液分泌速度の影響を最も強く受けていることが伺われた。 唾液の分泌速度、pH,緩衝能などの個人内変動がどの程度であるのかについて検討した結果、被験者間の変動は大きく、また個人内変動も、分泌速度、pH,緩衝能の値は全被験者の変動範囲の50%以上を示した。 プラークをpHセンサー上に沈着させて、糖液によるpH低下後のpHの回復を調べる実験では、プラークをセンサー上に沈着させることが難しく、実験方法の改良が必要と思われた。すなわちpHセンサーは有線であるために、プラーク熟成までの間、電線を口腔内に収納しておく必要があり、煩雑であること。また測定時、pH測定器に接続する時の電気抵抗値の変化が、測定に影響することが示唆された。そのため、次の課題として、無線によるpHの測定法について現在検討を行っている
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