研究概要 |
研究代表者らは歯周病細菌の一つであるActinobacillus actinomycetemcomitansの感染によりマウスマクロファージ細胞に誘導される細胞死の発現機序について検討を重ねてきた。本研究課題ではA.actinomycetemcomitans感染後に誘導される細胞死の誘導機序をサイトカインの関与も含めて詳細に検討した。以下が本年度の研究実施計画と研究結果の概要である。1.A.actinomycetemcomitansの細胞内への取り込みによるシグナル伝達:感染実験系にTLR4に対する抗体を添加した結果,アポトーシスにはあまり変動が認められなかった。今後,培地中の血清成分および添加する抗体濃度,抗体添加による細胞内へ取り込まれた細菌数等について検討する必要が考えられた。2.感染直後に産生される炎症性サイトカインによるシグナル伝達:感染直後に培養上清に産生されるTNF-αについて,阻害剤等ではTNF-α産生以外も抑制される可能性があるのでsiRNAを合成して産生を抑制する実験を数回行った。その結果,毎回の研究結果が安定しないので結論は得られなかった。今後,研究結果が安定しない原因を検討する必要性が考えられた。3.感染細胞内でのA.actinomycetemcomitansの動態:共同研究者の西原が研究分担者の加藤がペンシルベニア大学Demuth教授から供与を受けたシャトルベクターを使用してA.actinomycetemcomitansにGFP遺伝子を導入した。次年度ではGFP遺伝子を導入した菌株をマウスマクロファージ株やヒト由来の単球に感染した後の細胞内の動向を探る予定であった。研究代表者の急逝にともない本研究課題は本年度をもって打ち切りとなるが,研究代表者の遺志を汲みこれまでの成果を今後の研究につなげていきたいと考えている。
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