研究概要 |
1.リポ多糖に対する結合力の評価:平成15年度と同様に,LPSとLBPの結合を阻害する能力をポリミキシンBを基準として繰り返し測定した。平成15年度の結果と併せて考えると,hLfのLPS-LBP結合阻害能はポリミキシンB換算で0.2nM程度,hLf33Kは0.08nM程度,hLf33Rは0.05nM程度で各試薬の阻害能の間には有意差が認められた。 2.培養単球系細胞からの炎症性サイトカイン産生に対する影響:THP-1細胞に,E.coli由来のLPSを加えて,さらにhLf, hLf33RあるいはhLf33Kを加えて,培養上清中のTNF-α量およびLDH活性を測定した。いずれの試薬を加えても,TNF-α量(約70%に)およびLDH活性(約80%に)は有意に減少したが,各試薬間で有意差は認められなかった。また,生細胞への色素取り込みを指標とした細胞増殖については,いずれの試薬も影響を与えなかった。 3.培養細胞の化学走化性に対する影響:THP-1細胞に,LPSを加えてボイデンチャンバー法にて化学走化性を測定した。hLf, hLf33RあるいはhLf33Kいずれを加えても,化学走化性は有意に減少したが,各試薬間で有意差は認められなかった。 4.検知薬用色素の選択と合成ペプチドとの結合方法の検討:キリヤ化学株式会社(大阪)に食用色素とラクトフェリンの結合法について問い合わせを行った。当初の計画のように,認可済みの食用色素を化学結合(共有結合)でラクトフェリンに結合させると,別の物質になり認可はされないとのことであった。また,hLf33RあるいはhLf33Kを合成する際に色素を結合させて合成する可能性についてシグマジェノシス(札幌)に問い合わせたが,技術的に難しいとの回答を得た。今後は,ラクトフェリンを介してではなく直接,歯石あるいはエンドトキシンに吸着しやすい食用色素を探索したい。
|